22.Mar.2022
CURRENTAGE SHOKO OTAKE SPECIAL INTERVIEW
CURRENTAGE
SHOKO OTAKE
Capsule collection #01
アーティスト大竹笙子氏がCURRENTAGEの為に
制作してくれた版画作品を落とし込んだ
カプセルコレクションをローンチ。
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普段の制作は日常の会話や目にした情景を
版画やドローイングなど様々な技法を用いて
具現化している大竹氏が、
CURRENTAGEデザイナー塚崎と対話を重ね、
2022 SSコレクションの為に制作いただいた
版画作品の制作秘話や
今後の活動に関してなど、お話しを伺いました。
Q1.今回CURRENTAGE SHOKO OTAKEの為に作成してくれた作品はどのような想いで制作されましたか?
A.
普段自分が作ったものを全員に良いと思われなくても良いとは思っていますが、それでも今回のCURRENTAGEとのコラボレーションは、最終形態がお洋服で、しかも絵柄を制作するという初めてのご依頼だったので、自分だけが良いと思うのではなく、誰かに着たい!と思ってもらえるものを提供したい、しなければという欲と緊張感が常にありました。
しかし、デザイナーの塚崎さんと直接お会いし、コレクションのテーマを伺い、そこから自由に考えさせていただいたので、どのようになるかは見えないながらも、嫌な緊張感では全くなく、モチベーションが上がり続ける良い制作期間でした。
ジェンダーレス、エイジレス、ボーダーレスな現代の民族衣装をイメージしてデザインされた事からモデルも個性豊かなメンバーに着用してもらった。撮影は岡本充男氏。
Q2.2つの作品がありますが、それぞれにはどんなイメージや想いで制作されたのでしょうか?
またカプセルコレクションのネームや下げ札用に素敵なロゴも作成いただきました。?
それぞれ制作にあたりインスピレーションやイメージなどがあれば教えてください。
A.
今回のコレクションのインスピレーションに民族衣装があると伺ったので、民族衣装を着た人たちの写真をたくさんリサーチしました。
彼女たちから、衣服は着るものではなく巻きつけるもの、という原始的な魅力を感じたとともに、原始的な手段を用いる版画とピッタリだなとも思いました。
制作のインスピレーションになった写真集の1ページ。布を巻きつけることで“纏う“衣服。シルバーやビーズのアクセサリーを更に身につけて自身を飾る人々。

大竹氏が特にインスピレーションを受けた“聖なる銀 アジアの装身具“の1ページ。装飾部分の模様が、よく見ると“Meltage Rythm“の版画作品に溶け込んでいる。
”Snaky Flower Batik”
身体に巻きつけた布の柄が彼女たちの体に沿って曲線的になっているのをみて、自然とドローイングの花も曲線を帯びました。
また、アフリカンプリントの布端に産地や生産者の名前がテキスタイルの一部として入っているのが素敵だと塚崎さんと共感したので、せっかく作るなら、とCURRENTAGE産のテキスタイルという判子の意味もこめて彫らせていただきました。
大竹氏と塚崎が素敵だと共感したアフリカンバティックの生地耳のディテール。大竹氏の彫った“CURRENTAGE“はモザイクタイルのようにも見える。
見ていて飽きることがない不思議な絵柄だ。
”Meltage Rythm”
シルバーやビーズがジャラジャラ付いたアクセサリーと数種類の布を組み合わせている彼女たちのスタイルはとてもカッコ良く、それらの偶然的な美しさを1枚の版画にしたらどうなるだろうと、自分でも完成形はあまり想像できないまま実験的に制作し始めました。
スケッチブックにたくさんドローイングし、それらが溶け込むよう混ざり合うよう、コラージュ的に組み合わせながら最終的な絵柄を決めました。
版を一回刷って完結するのではなく、リピートして刷ることでひとつの柄が完成するという新しい経験をしました。
“CURRENTAGE SHOKO OTAKE LOGO“
洋服にとってネームは重要な細部のひとつだと思っているので、ネームも作らせていただき光栄です。
小さい頃から面白いと思ったフォントを真似して描いてみたり、良い形の文字を探すことは日頃から癖になっています。
ネームに必要なアルファベットを納得のいくおさまりの良い形に決まるまで繰り返し描き、一気に彫りました。
版画特有のかすれや溝に残ったインク染みなどを再現して、まるで一枚一枚、版画したような質感のプリントネーム
“CURRENTAGE SHOKO OTAKE”
ロゴの版木(ゴム版を使用)
Q3.CURRENTAGEとのコラボレーションをやってみて、何か感じたことや想いがあれば教えてください。
A.
塚崎さんの頭の中を具現化するような制作はドキドキする楽しさがありましたし、モデルさんの着た洋服がゆらゆらなびいているのを目の当たりにした時、喜びで満たされました。
ベストな状態でCURRENTAGEにバトンタッチするために放出した自分のエネルギーは、実際に袖を通された時、CURRENTAGEからのエネルギーと相まって、結果倍のエネルギーとなって自分に返ってきました。
エネルギーを放出したはずなのに、満たされたというか。
自分1人では絶対成し得ない素敵な経験をできたことは本当に幸せなことだと思います。

毎シーズン日常の中から気になるアートや建築、映画などコレクションのソースを決めて徹底的にリサーチする。
オリジナルで作られる素材やカラー、絵柄はその空気を纏う。
Q4.版画という表現手法は、伝統的でありながら現代のアートシーンでは希少な表現に思えます。
なぜ版画という表現方法を選ばれたのですか?
A.
作っている自分さえも最後刷った紙をめくってみるまで、どんな絵が出てくるのかわからないところが版画の魅力のひとつだと思います。
私は下絵を直接版木に書くことが多いのですが、その絵が反転した姿をおおよそ予想できているつもりでも、彫り残しや、ちょっとした彫りの具合によって必ずと言っていいほど予想は裏切られます。
頭では分かっていますが、彫った絵が反転するって面白いな、と刷る度に思います。
もうひとつ、版画はフィジカルでアナログな手間が多い表現方法だと思います。
これ無駄じゃん?邪魔じゃん?で一掃され、効率化や簡素化重視になっている世の中に、筋肉痛と増えていく版木を積み重ねていくことで、ささやかな抵抗をしているのかもしれません。
大竹氏が使用する版画刀。何種もの刀を使い分け、イメージする線を彫っていく。

”Snaky Flower Batik”の版木(ゴム版)。反転を予想して彫るという作業はとても興味深い。
Q5.昨年から姉である大竹彩子さんとの2人展やPARCO PRINT CENTERのポスター展参加など
精力的に活動されていますが、今年は個展など開催される予定はありますか?
また今後やってみたい事や行ってみたい場所があれば教えてください。
A.
一番近い展示予定だと、今年の4月末から代官山にあるSALT AND PEPPERで個展を予定しています。
大きな作品を作ってみたいと思っていたので、この個展で展示できればと思っています。
もうひとつやってみたいことは夏目漱石全集読破!
Q6.笙子さんは、CURRENTAGE SHOKO OTAKEのアイテムをどんな風に着たいですか?
A.
一生着て、共にシミ・シワをつけていきたいです!
シルクのスカーフは2つの柄を組み合わせてデザイン。 巻く方向や巻き方で柄の出方が変わるのも面白い。
パンツは絵柄の間に余白を作った側章風のデザイン。
職人が1枚ずつハンドプリントすることで版画の強さに負けない唯一無二の佇まいに仕上がっている。
Q7.最後にCURRENTAGE SHOKO OTAKEの洋服やスカーフを手に取ってくださる
お客様にメッセージをお願いします。