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04.Nov.2022

-IT’S MY FRENCH-  vol.2

”女性としての在り方を学ぶ場所であり

生活の楽しみ方を学ぶ場所”

 

vol.2

CHIAKI TAKAMOTO

-DIRECTOR&BUYER-

 

Blu-ray ポンヌフの恋人より

 

2022FALL/WINTER COLLECTIONのテーマ
“Cinématique“

Inspirationになったのは、”狂騒の時代”と言われた20’sのフランスや80’のフレンチニューシネマに生きたミューズ達。

自由にしなやかに、自身を信じて愛に生きる女性達はいつの時代も美しいもの。

今回は、CURRENTAGEにも関わりがあり、普段から多様に活躍する3人の女性達に”It’s my French=私にとってのフレンチ”を聞いてみました。

第2回目となる女性は、フリーランスとしてBuyerやDirectorを務める高本千晶さん。

バイヤーとして長年ヨーロッパを中心にバイイングを行なっており、特にフランスには関わりの深い高本さんが感じる

It’s my Frenchをお伺いしました。

 

 

 

 

ー強く憧れたパリのリセエンヌ

 

10代の頃からずっと漠然とフランスとファッションに憧れと関心があった私は、大学にてフレンチを学ぶ選択をした。

90’Sはまさにフレンチ、パリジェンヌブームでもあり、フランス語フランス文学科を選択すればフランス留学へ

何ならそのままパリに住んじゃったり、、、と妄想は膨らみ、アニエス・ベーを身に纏い、evianと雑誌Figaroを片手に石畳を歩く姿に思いを馳せながら固いパンをかじる当時の自分を振り返ると少々痛々しくて笑えてしまう。

中でもパリのリセエンヌ(女子学生)スタイルには強く憧れた。そのきっかけとなる教科書、雑誌Oliveの存在は大きかった。雑誌の中のパリジェンヌスタイルを真似してスタイリングしたり、ちょっと個性的で何かこだわりの強いライフスタイルにも憧れた。

本や音楽や映画、1人で時間を過ごすカフェ、ヘアスタイルまで当時の出来る範囲でのフランスに手を伸ばしてのめり込んでいった。

センター分けの前髪をサイドに撫で付けピタッとした三つ編み、ゆるーく雰囲気のあるお団子のヘアスタイル、シンプルなミニスカートにレースアップのブーツスタイル、道端でタバコを吸う姿、、、

自分の脳裏のストリートスナップが膨らんでいったのもこの頃から。

 

 

高本さん本人私物より 

 

 

ー人間らしい愛の描写そのものが ”フランス映画”

 

そんな私が初めてフランス映画に出会ったのは、大学生の頃。まさに1990年代真っ只中。

今だにその頃の多感な気持ちもその頃のエキサイティングなことも、思い返してはつい昨日のことのように胸がキュンとしながらも、初めて出会ったフランス映画が何かについては鮮明に思い出せないのが正直なところ。

ただその頃に、感銘を受けて様々な年代のフランス映画に手を伸ばしたきっかけの代表作として挙げられるのは、1992年日本公開の「ポンヌフの恋人」(Les Amants du Pont-Neuf)。

ポン・ヌフがリアリティーあるロケーションとなり、当時まだそこまでのダーティーな世界を好まなかった甘ぬるい少女自身に、天涯孤独の青年ホームレスと酒呑み、自ら地面に頭を擦り付け、車に足を轢かれるシーンはスタートから衝撃的だった。

ただただお洒落フレンチ映画に浸りたい一心で向き合おうと掻き立たせてくれた気持ちは多感な感覚と共に忍耐も含めて脳裏に焼き付いている。

そこに美しいながら一筋縄ではいかない環境と失明の危機を抱えた女性。初めて知ったそのフレンチ女優は「ジュリエット・ビノシュ」だった。

愛が描かれながらも、当時のハリウッド映画との大きな違いは、人間そのものの情熱やエゴのぶつかり合い。今なら理解できるが、その魂のぶつかり合いから生まれた愛が絡み合ったストーリーは、当時の私にはとても重く心に残る内容だった。

その全ての背景に愛の形があり、また単純なる美とは異なる。でも最終的にとても美しい光景とスタイルと憎悪全て含めて情熱的で人間らしい愛の描写そのものが「フランス映画」というインパクトが私のフレンチシネマデビューである。

 

「ポンヌフの恋人」(Les Amants du Pont-Neuf)のワンシーン

「ポンヌフの恋人」はパリの美しい風景と壮大な花火のシーンに誰もが魅了されることは間違いない。

そして、社会や人間の重い風潮や感情の描写であるにも関わらず、最終的には演じる俳優達はストーリーもファッションも全てがアイコニックで時代を超えて美しいとしか思い出せない。

それがフランス映画の魅了される最大マジックだと思っている。その魅力に取り憑かれて以降、1950年代末からのヌーベルヴァーグの様々な映画「勝手にしやがれ」、「大人は判ってくれない」、「女と男のいる舗道」、「地下鉄のザジ」などなどを見ては、その素敵な世界に刺激を受けていった。

 

ー皮肉の裏返しに人間味とユーモアを感じる

 

私がフランス映画に惹きつけられる理由は2つある。

1つ目は、映画そのものが娯楽というよりも、芸術性の高い作品として提案されているということもあり、そのフランスの芸術性そのものに惹きつけられていると感じるからだ。

だいたい舞台に現実味あり、心理描写や人間性を問い続けるような内容が多く、逆に感情移入しやすくて、そういったフランス映画の魅力自体がとても自分好み。

その問いかけられる心理描写や感情と皮肉の裏返しに人間味とユーモアも感じる。

年齢や性別という垣根はなく、ずーっと何かについて討論するシーンやずーっと愛について語り、愛に生きている様子など、美しいだけでなく光と影があり、そこに人間らしい可愛らしさを感じる。

そんな自由な表現力と人間力に私は憧れを抱いている。

 

 

「女は女である」アンナカリーナ

 

ー惹きつけられるフレンチファッション

 

2つ目の理由は、何と言ってもその中のアイコニックなファッションスタイル。

トレンドではない独特な雰囲気がとびきりお洒落に感じて、時代を超えても永遠の憧れとして私の中でインプットされている。そのスタイルを見たくて映画を見ることの方が多いくらいだ。

中でもファッションに惹かれた映画の一つ、月並みではあるが「女は女である」。

アンナ・カリーナの着る「赤」の魅力。赤のニットに赤のタイツ。あれを見ると赤のニットとタイツを買いに走りたくなる衝動に毎回駆られる。そして、こなれたトレンチコート、軽めに被ったベレー帽。キュッと引かれたアイラインとのバランスも絶妙。

どこかその人なりの「こなれ感」があるのもフレンチファッションに惹きつけられるポイント。

だからこそ真似しようと思ってもなかなか真似できなくて、何度も見返してしまう。

セーラー服にセーラー帽のシーンも好きで、今だにセーラーカラーを探してしまうのはこのシーンの影響も大きいのかもしれない。

そして、「男と女」も好きな一つ。

映画の舞台になったドーヴィルの男前な海の背景も相まって、襟を立たせたコートやムートン、ハイネックのざっくりしたニット、アヌーク・エーメの大人の色気が引き立って、冬になるとこんなスタイルで外に出たい!と思う。

最近のお気に入りは1985年日本公開の「海辺のポーリーヌ」。

避暑地ノルマンディーの海岸リゾートスタイルがどれを切り取ってもグッとくるものばかりで画面スクショが止まらない。

オーセンティックなアイテムの着こなしもヘルシーでどこかセクシー。

シャツのボタンの開け方やボーダーの合わせ方、15歳のポーリーヌのヘルシーな身体に可憐な白いコットンキャミドレスなのに可憐すぎないバランス。

ヘルシーでありながら大胆な肌の見せ方、どこか着崩すこなれ感。セクシーさが際立つところに、フレンチスタイルの最大の魅力があるというのが私が惹かれる一番のポイントである。

 

 

私にとってフランスとは、「女性」としての在り方を学ぶ場所。そして「生活」の楽しみ方を学ぶ場所。

常に「愛」について語っている気がするし、そのスタイルがすごくナチュラル。なんだか気取らなくてもいいんだというアドバイスしてくれている気がする(笑)。

例えば、自分にとっても欠かせない赤い口紅「ROUGE」。

現代の風潮ではないけど、フランス女性はお気に入りの「ROUGE」を必ず1本持っていると言う。

でも、それは決してデートの時ではなく、お散歩に行く時、1人でパンを買いに行く時につけるもの。

なぜなら、自分の為のROUGEで決まった相手に媚びるのではなく、自分の魅力を見知らぬ誰かに表現する為のものだから。

 

 

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A25FJ219    ECOLEATHER&SPONDISH   ¥58,300

 

A2523KSW003    BETTY      ¥46,200

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高本 千晶/TAKAMOTO CHIAKI

 

大学卒業後、アパレルメーカーにて販売スタッフ・店長を経て2002年よりバイヤーに就任。

2021年11月独立。以降、フリーランスとしてバイヤーに携わりながら、ディレクターとして新たな一歩に奮闘中。

 

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